ト13の茶碗・2つ
茶碗は2つありました。焼け具合の違いで2種類のように見えます。『福寿』の文字だけの文様は朝鮮半島でよく見かけた文様ですが、日本国内では見たことないような気がします。
内部を見て驚きました!昭和10年代に釉薬剥ぎの焼成方法をしていたからです。これについては陶片狂さんの『陶片窟日記』の『砥部焼』タグにいろいろ書かれておられるうちの一つに該当するものと考えます。
高台には『ト13』の呉須印が付けられています。砥部の統制番号に潰えはまだはっきりしたことがわからないとのことですが、今までの感覚で言えばこれは砥部の統制番号と考えます。
……
個別に見てみます。
①こちらの茶碗は青みがかった焼き上がりをしてます。ところどころクリーム色の発色した部分もあります。茶陶ではこういうところを見所としますが、一般的には焼きムラととらえられることでしょう。
②こちらは釉薬に貫入(ヒビ)が入るもので焼きが甘かったのかなと思います。クリーム色の発色が温かい感じをうけます。
こちらは①の内部です。
②の内部。それぞれの焼き加減で違いがわかります。
①の高台。『ト13』の呉須印が付けられています。
②の高台。『ト13』の呉須印があります。
『国立国会図書館デジタル化資料』の『愛媛の商品. 昭和12年版 愛媛県貿易協会 編』の『砥部焼』の項で昭和11年現在とおもわれる窯元数が記されており、この頃14の窯元があったという。『ト13』が砥部の統制番号であれば数字的には一致します。
たった14軒の窯元で世界を目指した砥部焼には脱帽です。
そして残っていてくれてありがとう!