茶釉の茶碗~軍用食器の転用
日々、ショッキングな出来事が起こるにつれどうしてもそちらに話題が移ってしまうのは仕方ありませんが大きな問題ですので注目していかなければなりません。
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戦争に負け、人々は食うこと、生きることで精一杯だったといわれる終戦すぐの時期、モノ不足から様々なものが作られましたが戦時下よりもモノの現存は少ないかと思います。陶磁器はまだ残りやすいものですがそれでも少ないと思います。
こちらは『茶釉の茶碗』です。売主は『小鉢』とされていました。パッと見は小鉢とか茶碗として見えるのですがよーく見ると星章が見えるのです。そう、軍隊用の食器なのです。しかしこれは軍隊用の食器なのか?
軍隊用の食器は今までいくつか紹介しましたがこのようなものはありませんでした。各地で発掘された軍隊用の食器類をみてもなさそうです(すべてを確認したわけではないので)。焼き上がりの悪いものはありましたが『白磁』が基本です。それにこんな色では星章も見えません。
そう考えるとこれは軍用食器の型を使用して造られた戦後の食器ではないかと考えられます。
高台内には統制番号の記載は見られません。茶色の陶土を使用しています。もともとが磁器ではなく、陶器なのでしょう。