沖49の花瓶(沖縄県)
壷屋窯には昭和15年、柳宗悦らが訪問しています。独自のスタイルを維持するよう、アドバイスしたようです。花瓶も独特のスタイルを維持している物です。
本土ではデザイン出来ないバナナをモチーフとしている。葉の付け根にあるのは椰子の実ではなく、房になったバナナ。くっついているので椰子の実に見える。
バナナの葉を全面に出して力強さを表しているようだ。
反対面はジャンク船。中国などで使用されていた昔ながらの船。中国との関係が深かった琉球王朝の名残を感じることが出来る。
バナナやジャンク船は文様を彫りだした物ではなく粘土を貼り付け、細部を彫り、成形している。背景部分にある細かな穴は貼り付けをより確かなものにするためにあるのだが、白泥で化粧することにより文様を浮き出す効果をも担っている。
高台部は赤く焼けた土が見える。高台内側にも釉薬が塗られている。花瓶はすべてろくろ成形されており、高台は削り出しているようだ。ずしりと重い。
高台内の統制番号記号。『沖49』は沖縄県の窯元の番号と考えられる。まだこの頃は『壷屋焼』と言う名称が確定していなかったのかもしれない。あるいは沖縄県各地(離島)に小規模ながら窯元があったのかもしれない。
サイズは直径(胴径)17.7センチ、高さ26.4センチ。