岐385、岐923、岐930の皿
最近でも『お宝ブーム』の影響か、タコ唐草や見込みに松竹梅のデザインをされた食器を販売しているのを見かけます。
今日は統制時代に焼かれた見込みに松竹梅のある皿を紹介します。
銅版転写の小皿に属するものです。ちょっと見づらいですが、見込みは丸くデザインされた松竹梅の図が描かれています。皿全体の文様も松竹梅で吉祥を祝うデザインとなっています。
これは一番最初に手に入れた銅版転写皿で思い出深いです。当時は「これにもあるのか」と、感動と驚きがありました。
一枚の転写紙で転写していることからすると昭和16年前半の製造ではないかと思います。番号から現在の土岐市内の製造とわかります。
高台部の写真を撮っていませんが高台内に『岐385』とクロム釉印が押してあります。サイズは測り忘れ。
これは大皿に分類されるものです。この時代の大皿はそれでも約30センチのものまでで、それ以上のものはなさそうです。これも30センチ未満でした。
全体を4つ、大きな区切りと小さな区切りに分けそれぞれに花を描いています。大きな窓は牡丹でしょうか、ゴム印で絵付けされています。小さな窓の3連の花は唐三彩に見られる花に似ています。
唐三彩は昭和の初め中国で発見されました。ここでの説明は省きますが、唐三彩について詳しいHPをリンクしてありますのでそちらをご覧ください。→東洋陶磁 唐三彩 さまざまな器形 および 東洋陶磁 唐三彩
これは中央部を拡大したもの。江戸期伊万里の文様とはデザインが異なるけれども松竹梅を丸くデザインする点は近いものがある。
高台部と裏側です。土の精製がよくないためか鉄分がところどころに浮き出ています。高台内に『岐923』と呉須印が、『許2724●』と赤絵印がつけてあります。素地は『岐923』の窯元が製造し、赤絵付けを専門とする窯元が上絵付けを施して『許『2724●』の番号印をつけたものと思われます。サイズは直径24.5センチ、高さ3.9センチ。
最後は再び銅版転写の皿です。これは今のところ統制時代に焼かれたものの中で一番、精密に造られた銅版転写だと自負しています。細かな彫りと完璧な転写は戦前の作でもなかなか見かけません。むしろ戦後を思わせます。
これも大小8つの窓をとり、四君子(竹・梅・菊・蘭)と格子に卍の文様を描き入れています。そのほかは編み籠文様とでも言いましょうか、びっしりと埋めつくしています。
見込み部分の拡大図です。こちらは松竹梅ではなく、四君子の文様ですがそれでも同じように丸くデザインされています。
高台部の写真を撮っていませんが高台内に『岐930』の凹印が押してありますので統制陶器には間違いありません。サイズは測り忘れ。