瀬50、瀬443、瀬908の茶碗
茶碗であることは間違いないのですが、普通に見られる茶碗よりずいぶんと垂直に立っている茶碗です。
文様はただ葉と花を描くだけではなく、葉の中心に葉脈を入れているのを見逃してはいけません。花部はイッチンを使用しています。このような例は他にも存在します。
高台部の写真を撮っていませんが高台内に「瀬50」と呉須印が押してあります。サイズは直径12.2センチ、高さ6.5センチ。
次は黒織部の茶碗です。実際に飯茶碗として使用されたとは考えにくいものです。文様は黒織部釉と同じ物を使用し描いています。長い葉が交差する下あたりが花部ではないかと思います。
掛け分けされた黒織部釉。ろくろを引いた様子がそのまま出ている。
内部。特に文様などはなく中央部、見込みに渦巻状の文様がうっすら見えるのみ。
高台部の写真がありませんが高台脇に囲み枠内に『瀬443』と凹印の統制番号がつけられている。サイズは測り忘れ。
最後は黒織部の物に近い、鉄釉で描かれています。写実的に描いたというより心の中にある春蘭を描いたという感じだ。
釉薬は白釉。又は志野釉(志野織部)。古民芸店の主人に見せると<番号が無ければもっと古い物に判断してしまいますよ>と言われた。
反対面は春蘭の葉か?ところどころピンクに見えるのはモニターのせいではなく、実際にあります。製造後の環境から何かが貫入にしみこんだのでしょう。
高台部は釉薬を3回に分けてつけているので無釉の場所が三角形に見えます。白地の碗なのでちょっとわかりにくいですね。
高台脇に『瀬908』と凹印が押してあります。高台外側はへらにより削り取られていますが、高台内の渦は石膏型成形に伴う、初めからつけられている文様です。サイズは測り忘れ。