瀬809の灰皿
いつも行く骨董市で頼んである業者さんから見せられた。(おっ、ラベル付ではないか。ええねぇ)→声に出したりはしない。きちんとした値札が無い骨董市では欲しい物をどうやって安く手に入れるかの駆け引きの場でもある。
『お世話になってる方からなので、●円ですけど、どうします?』といわれる。
うーん、と考える。が、考えていない。買うに決まっている。
『何なら、次月でもいいですよ。』などはもう揺さぶり文句か?結局、他の何点かは買わず、これをいただく。→他のはいつでも買える。他に渡る前に押さえなければ。
その次の月だったかな、また同じ骨董市を回る。順繰りに回ってゆくと、骨董市などではよく見かける『3個で100円』なんていうガラクタばかり入っている箱を見かける。
一見しただけでは(ナーんも無いな・・・)→当然心の中。業者の耳に入ったらしばかれる。
でも、意外とひょっこり何かあることもあるのでのぞきこむ。
その瞬間、(うっ)と固まる。なんと前月入手した灰皿があるではないか!証書付きで。
探してみると出るわ出るわ計3つ。2つは証書が無いが、番号も柄も同じ。
(なんだかな~)気分はちょっとブルー入りましたね。交換用に買いました。
ブルーになりつつも(これ見たらどんな顔するだろうか、どう切り出そうか)とちょっと楽しんでみたりして。
その業者さんは最後にうかがうので、当然その日の買い物も気になるようだ。
『なんかありました?』なんていうので灰皿を見せる。『アーー。』とちょっと驚いた顔をした記憶があるけれど、どうだったかな?
別に悪気を持って商売をされているわけでもないし、骨董などその時のタイミングで値段などはピンからキリまでに変動するもの。それはわかっているけれど・・・。
ある意味で失敗談になるのかなと思う。
掲載の灰皿はこのとき入手のもの(高い方)。亀甲似の連続文様でその中に花をゴム印している。灰皿は石膏型を使用した鋳込みで造られている。
証書には左読みで『検査格付証紙』(格付の間にマル公)、『愛知縣陶磁器統制聨盟』、『5級』、『價格・小賣・卸』、『上繪付 並』とある。別のラベル『50』は不明。
ラベルの等級から考えると物自体(素地)は中くらいだが上絵付けは下にランクされていたことがわかる。
高台部は二重高台で、『瀬809』と呉須印の統制番号が見える。サイズは直径12.3センチ、高さ5センチ。