人気ブログランキング | 話題のタグを見る

時のかけら~統制陶器~

tokinokake.exblog.jp
ブログトップ

十能

 今日紹介するものも日常の生活からはほぼ絶滅してしまったのではと思います。昭和20年前後として、その後の昭和30年代を境にさまざまな器物・デザインが姿を消していったことと思います。今思えば新鮮なものも数多くあるのでしょうが・・・。

十能_c0004987_1001428.jpg

 これ、ある程度年齢がいった方ならばわかるかと思います。我が家でも鉄製品ですが、まだ薪で風呂を沸かしていて20数年前まで使用していました。

 十能(じゅうのう)といいます。姿・形は見たことがあるけれど名前までは知らなかったといわれる方もおられるかもしれませんね。今でもホームセンターには売られていると思います。
 
十能_c0004987_1033358.jpg

 風呂炊き時に灰をかき出したり、燃え残りの木や炭を運んだりと重宝な道具です。これは戦時中でも昭和16年よりも以前の製品なのでしょう、統制番号は付いていません。

 陶製十能自体はもっと古い時代から造られており、愛知県瀬戸市の江戸期の窯跡から発掘されています。製品の焼成後、灰をかき出したのでしょう。形もほぼ同じです。

 これは購入先からの話では駄菓子をすくい取る時の道具、と聞きました。ポン菓子(米はぜ)などをすくい取るにはいいかもしれません。あるいは本来の役目である灰すくいに使用したかもしれません。かまどの口の大きさには合っているように思います。

十能_c0004987_1052857.jpg
十能_c0004987_1065649.jpg

 柄の裏側には取っての棒に釘を打ち込むための穴もあけられています。素焼きなので熱によってすぐに壊れてしまう心配もあります。そこのところどうだったのでしょうかね。
 サイズは最大幅7.7センチ、長さ6.8センチ、高さ4.5センチ。 
by richouken04 | 2006-11-08 10:09 | 戦中期参考品

戦時下(S15~S21)に焼かれたやきものを中心として


by richouken04