岐487/許27270の皿
松の枝の上で子育てする鶴の図。実際の鶴はこういう生態をしていない。まぁ、松も鶴もどちらもおめでたい図柄なので組み合わされたのだろう。
松には別窓で四角い色紙が添えられる。一方は文様、一方は文字が書いてある。
『青山 孤舟 別天地』
中国の漢詩から材をとっているようだが、どの詩から取っているのかはっきりとしない。大体の意味合いは『もの静かな山深く、一人湖に舟を浮かべ釣りをしている。俗人の入り込まない別世界である』であろうか。
この『別天地』という語句、これが珍しい。
この語句自体は漢詩入りの小皿でよく見かけるのだが、統制陶器ではこれ一枚のみ。国民精神総動員を掲げ一億一心の掛け声の下で自分一人別天地へ行こうなどと受け取られかねないこの表現はやはりまずかったのだろう。それだけにこの皿の発見はうれしいものだった。
高台には『岐487/許27270』の呉須印と赤絵印がそれぞれ付けられている。もともとは白い素地だった皿に上絵付けされて『許』の印が付けられている。
サイズは直径11.4センチ、高さ2.1センチ。