岐751の薬瓶
こちらも会社住所が名古屋市西区の『シントール薬品株式会社』の塗り薬容器です。文字は銅版転写で入れられています。表示の方法は先日の『カホー』と同じです。2つがほぼ同時期で同じ生産地の製造であることが推測されます。
反対面には『巴布薬 シントール(エー)』の商品名があります。(エー)は(A)と表示したかったのでしょうが時局柄英語の使用は見送ったのでしょう。苦心の表現です。
蓋面は北東アジアの地図が銅版で描かれています。当時の日本の領土である、朝鮮半島・台湾・樺太南部は同じ濃さの色で表され、満州国と中国は斜線で表されています。ソ連は細かい点々です。もうこれだけで充分に戦時色が強いのでその道の方は唸るものでしょう。
蓋には『シントール』とだけ書かれています。
高台には『岐751』とクロム釉印が押されています。『カホー』の容器には番号はありませんが、造りなどはそっくりで同じ生産者ではないかと考えています。
サイズは直径(最大・胴部)7.7センチ、高さ(蓋含む)5.3センチ。
『シントール(エー)』の容器は(財)岐阜県陶磁資料館『戦時中の統制したやきもの』(2001年)に種類の違う容器が紹介されています。そちらは蓋に商品名があるもので、印象はかなり違って見えます。