瀬721の湯呑
昭和に入って荒川豊蔵の『志野陶片』発見によりこれらが美濃で焼かれていたことが判明するがそれ以前は瀬戸で造られたものと考えられていた。今でも瀬戸の赤津(あかづ)地区では織部焼が主流の生産品になっています。
今日紹介するものも造りからこの地区の物だろうと思います。
瀬戸で焼かれた上手の湯呑。織部釉の発色もよく、優品といえる。見ただけでは戦時中のものか、それ以前のものかと判断に迷う。
側面3態。麦わらの立て筋と織部釉、幾何学文様?と織部焼の要素が詰まっております。器自体、中央にゆがみを持たせるあたりも特徴の一つです。
内部は釉薬のひび(貫入・かんにゅう)があります。陶器に多いのですが、磁器にも当然出来るものです。窯出しの時の内外温度差により出来るようです。
高台脇に小さな『瀬721』の凹印が見えます。器は当然のことながらろくろ成型です。ひとつひとつ造り出すのはとても大変だったことと思います。
サイズは直径8.7センチ、高さ6.3センチ。
共箱でしたが、蓋がありませんでした。ちょっと残念です。