あらためて統制陶器とは
『統制陶器』と呼んでいるこれらは厳密に言えば『戦争中に経済統制を受けた陶磁器製品類』をさす言葉の略語といえます。
この経済統制とは・・・
①生産・卸販売・小売までを含めた一貫した配給(流通)を整備することでムダ・ムラをなくし、必要な分野へエネルギーを振り分ける
②生産量・配給量(流通量)を把握することにより商品価格の高騰・暴落を防ぐ
③生産者・販売者を管理することで品質を維持する
などの目的が含まれていました。現代の商業システムと比べそんなにそん色が無いんですね。経済学っぽいですが、たぶんに少しづつズレがあると思いますが、そこはお許しあれ。
『経済的な分野ではそうだろうけど陶磁器類を統制(管理)して直接戦争とどんな関係があるの?』と言われるでしょうね。
大きくは①に関係してきます。焼き物は土を高温で焼いて硬くする技法。当時主流の製造法は『石炭窯』なのでたくさんの石炭を消費します。
電気をつくったり動力源として活用したり(蒸気機関車など)と一掴みでも多く戦争の完遂(かんすい)のために使用しなければならない。
だから直接戦争に関係の無い分野こそ、その使用量は削減しなければならない・・・それが陶磁器業界だったのですね(無論他の分野についても戦争末期には同じ道をたどります)。
その過程においてどう統制(管理)してゆくか、個人的な意見でありまったく的外れかもしれませんが産地記号と数字の組み合わせを思いついたのは『自動車のナンバープレート』ではなかったのかなぁと考えています。
これはおそらく昭和初期ごろの写真絵葉書ですが、自動車のナンバープレートは『岐97』となっています。こういうところからヒントを得たのではと・・・。
ともかくこうして統制(管理)することになります。昭和16年3月までに日本中の窯業地で管理番号が制定されたはずです(ただ、その存在を裏付ける資料が残る産地はごくわずかです)。
こうして決められた番号を『統制番号』と呼んでいますが、正式には『生産者表示記号』という名称です(岐阜県の資料)。この記号番号は戦中はもちろん、戦後のしばらく後まで存在したことが証言によりわかってきました(戦後使用したとの証言は岐阜県においてであり、その他の産地でも使用したかは不明)
番号が付いているものは戦争中のもの。
簡単なくくりではありますがその実、内容は結構奥深いものがあるんですね。