どんな製品が造られたのか・皿
いろいろな製品がある中でどの産地においても造られたのは『皿』であろう。この中には丸皿や変形皿、なます皿などが入る。直径30センチに近い大皿から直径7センチほどの豆皿までさまざまなものが生産されている。
ただ一ヶ所、三重県四日市市の万古焼(記号『万』)では製品が確認されていない。この地の工業組合の発行した公定価格表にも皿の価格が記されていないので番号付きは生産していなかったのではと思われる。
それぞれの地域で少しづつ文様に差異があり、この差異を知ることである程度の産地の判別が容易になると思われる。ここでは特に共通性があり、特徴がわかりやすい山水文様を取り上げてみます。
『岐』(岐阜県多治見・土岐・瑞浪各市地域)
岐282の皿
『岐』のものはゴム印を押したあとの加筆が少ない、ものによっては加筆の無いものも多い。これも岩の一部に加筆があるのみです。
『瀬』(愛知県瀬戸市地域)
瀬253の皿
『瀬』の皿は『岐』と同じようであるが、全体に加筆が認められる。ただ、山水文様の類例が少ないので考え方を見直す時期も来ることだろう。
『有』(佐賀県有田町地域)
有30の皿
『岐』『瀬』と比べ手書きの雰囲気があるが眼前で見るとゴム印の上から加筆しているのがわかる。手書きの加筆が濃く、全体にいきわたる点・加筆の終末部のはらいに勢いがある点はこの地域の特徴といえる。
『波』(長崎県波佐見町地域)
波15の湯呑
この地域では皿が一枚だけの発見で山水文様でもないので湯呑で代用しました。『有』に似た加筆の仕方をしています。