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時のかけら~統制陶器~

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『昭和13年』銘の湯呑

 新年となりました。毎年この時期は統制番号を伴うお茶道具を取り上げておりますが、取り上げるほどありませんでしたので縁起のよい富士山の図案を取り上げます。
 そのうちでもきれいな吹き墨技法を駆使したうつわを紹介してゆきます。

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 呉須を吹き付けて描かれた富士山。今でも『富士山』と言えば雪をいただく姿が象徴的ですがこの頃からすでにそのような考え方があったのでしょう。呉須の濃淡からして2回に分けて吹かれたと思われます。

 吹き墨は『吹き』とも呼ばれる技法のひとつで型紙を白抜きにしたい部分において顔料を吹き付ける技法です。古くは中国・明時代の製品が日本にもたらされており、伊万里焼や瀬戸焼その他地域でも製品が造られました。
 
 大正・昭和と窯業の機械化が進むにつれ吹きも機械による作業へと変化してきめ細かく美しい絵柄へと変化していきました。

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 吹き墨・富士山の反対側には『自治制発布五十年記念』と『昭和十三年四月十七日』の文字が上絵付けされています。中央にはマークがあるのですがわかりません。この湯呑を発注した自治体の章なのかもしれません

 自治制は明治21年(1888年)発布され昭和13年(1938年)4月17日に50周年を迎えた。東京をはじめ日本中の各自治体において記念式典が開催されたという。

 当然のことながら統制番号はありません。ついでに写真もありません。サイズは直径6.9センチ、高さ7.2センチ。
by richouken04 | 2008-01-04 20:11 | 戦中期参考品

戦時下(S15~S21)に焼かれたやきものを中心として


by richouken04