時のかけら~統制陶器~

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 今年は戦争が終結して70年の節目。未来と過去を同一視するのはちょっと違うと考えていますが、来たるべき未来のことを真剣に考えてゆくことはよいことだと思ます。しかし、未来を考えるには『感情』に身を任すだけではなく過去を『冷静』に見ないといけないではないでしょうか。

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 今日は皇紀2600年の年号入りの盃を紹介します。

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 『皇紀二千六百年 満洲建設勤労奉仕記念 祝 富山隊』の文字がある盃です。見込には日本と満州国の国旗が描かれます。『富山隊』とあることから富山県で組織された方々が無事帰還したことを祝って配布したものなのでしょう。

 満洲建設勤労奉仕隊についてはあまり研究がされていないということや戦中戦後の混乱から資料の散逸などもあるかと思いますがはっきりとしたことがわかっていないというのが現状のようです。2-3か月の現地奉仕作業ののち帰国したようです。

 興亜学生勤労報国隊満洲建設勤労奉仕隊農業学校隊報告書(国立国会図書館デジタルコレクションより)

 「満州建設勤労奉仕隊」に関する基礎的考察 白取道博(北海道大學教育學部紀要 2000-03)

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 側面は『赤・白・青』の輪線がぐるりとまわしてあります。満州国国旗の色を使用したようです。岐阜の盃と比べると立ち上がり深く造られています。

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 高台内には『九谷』の赤絵銘が付けられています。『九谷』銘はゴム印のものと手書きのものがあります。産地でつけ方が違っていた可能性がありますがこちらもはっきりしたところはわかりません。
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by richouken04 | 2015-08-10 19:11 | 戦前参考品

『子ツスルミルク』の盃

 解説編です。漣さんの『子』の呼び方、『ね』に気付けば謎が解けますね。

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 とりあえず、『子ツスルミルク』で検索したのですがヒットなし。『マッスルミルク』とか出てきます(汗)これではらちがあきませんので別の角度から検索です。

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 反対面には缶の文様が付けられています。どちらかというとこの缶の文様が珍しいのではないでしょうか。私は見たことがありません。

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 拡大してみます。『NESTLE`S co●d nsed SWISS MILK』(以下略) これならすぐピーンと来る方もおられるでしょう。そうです、『ネスレ』なんですよ!びっくりしました。

 ネスレのホームページ、『ネスレの歩み』の年表から考えると1913年、横浜に日本支店を開設して以降の頒布品だった可能性がありますね。(確認してませんが) 上絵付け銅版転写という技法からも時期が一致します。

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 内部の文様は『子ツスル(ミルク)』と親鳥と小鳥、これもネスレの商品に見られるあの図柄です。多少の変更はありますがほぼ同じです。口縁の傷が残念ですが。
 
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 高台から見ると全体像がよくわかります。製造はおそらく岐阜県多治見市市之倉地区ではないかと思います。

 文様は上絵付け銅版転写ですので海岸・川では白磁になってしまう可能性が高いです。触ると盛り上がっています。
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by richouken04 | 2015-05-27 10:12 | 戦前参考品

『子ツスルミルク』の盃

 これを見つけた時は『なんだこりゃ?』と思った。また、図変わり印判の一つだと思い購入。調べてみるとかなりレアなもののようです。

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 『子ツスルミルク 子ツスルスミルクで 小児を 養えば

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 小供は何時も 健全なり


 子ツスルミルクって何? なんなのさ! 知ってるって人はコメント非公開がいいかな~


 ・・・つづく
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by richouken04 | 2015-05-26 10:32 | 戦前参考品

鳥居上棟式記念の盃

 お正月はどこかへ初詣されると思います。しない方もおられますが・・・だいたいは行くでしょう。そんな神社の鳥居を作り直す際の配布物だと思われます。

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 内部には鳥居の図。木製のもの、石造、金属製、それぞれの組み合わせなどいろいろありますね。ここの鳥居は『上棟式』をするのですから木製でしょうか。

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 側面には『石部神社』『鳥居上棟式記念』と文字が付けられています。この文字の色は戦前から戦後期の陶磁器、とくに子供茶碗に使われていることが多いです。この『石部神社』がどこの『石部神社』かはわかりませんでした。

 ただ、読み方は『いしべ』ではなく『いそべ』であることが判明しました。

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 高台には何もつけられていません。しかし、盃の形状から岐阜県多治見市市之倉地区で生産されたものと思われます。
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by richouken04 | 2015-01-12 10:35 | 産地・時代不明品
 お待たせしました。 

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 「出雲大社」のおみやげ盃、どちらがどちらなのでしょうか。

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 正解は左が統制番号付きの盃です。裏を見てみないとわかりませんね。たまたま手に取って見たら番号がついていたので腰が抜けるほどびっくりしました(気持ちだけ)

 ・・・・・

 島根県の窯業組合は『出雲陶器工業組合』という組合に属していました。昭和16年5月現在で22の業者が登録されていたようです。これはそのうちの一つで布志名焼ではないかと思います。

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 『出雲大社』とある。お土産物として造られたものだろう。手書きでさっと描いた雰囲気がこの時代を全く感じない。岐阜県などではゴム印が中心であるのに・・・。

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 俵型の側面は簡略化されています。でもそれと分かるつくりにはなっています。

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 高台は輪状ではなく、点で造られている。こういうつくりは線香立て以外では見られない。『出12』の黒呉須印がある。漢数字の場合は作家名である可能性もあるがアラビア数字の場合は統制番号とみて間違いないだろう。

 もう一つは昭和15年秋以前と思われる盃です。

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 こちらも『出雲大社』の名前がある。絵柄やタッチはほぼ同じとみてもいい。たくさん造られたものだろう。骨董市で盃ばかりが入ったかごなどに見た記憶がある。

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 俵型の側面は画像では分かりずらいですが左と比べ細かくできています。違いは他に器壁が薄いことでしょうか。

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 高台が作られており、打ち出の小づちの形状になっています。こういう遊びができるのも戦前だからでしょうかね。銘などはありません。『出12』との関連はどうでしょうね~こういった物はどこでも造ったことでしょうから。
 
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by richouken04 | 2015-01-08 17:05 | その他産地

島根のやきもの・盃

 統制陶器とそれ以前と思われるものって結構あるんですよね。これもそんなひとつです。

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 『出雲大社』の文字と大黒様の絵柄。お土産物と思います。

 どっちがどっちかはまた次回。
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by richouken04 | 2015-01-05 22:45 | その他産地

『円山』銘の盃

 2015年初頭ですので『盃』をご紹介してゆこうと思います。とはいえ、明治から昭和にかけてのものですのでさほど『ほほー』と言えるものはありません。

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 いわゆる呉須赤絵風の絵付けされた盃です。かなり簡略化されており中央の『福』の字が無ければ草花文様の盃だったでしょう。

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 側面もぐるりと上絵付けされていて手が込んでいます。すべて手絵付けされているため古い時代のものでしょう。

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 高台内には『円山』の凹印が付けられています。
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by richouken04 | 2015-01-04 21:35 | 産地・時代不明品
 長らく延ばし延ばしにしておりました、このクイズ。

 いよいよ待望の正解です。

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 どちらが統制品なのかと夜も眠れぬ日々を過ごされた方でいっぱいだと思いますが

 ナイナイ

 これが正解です!

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 正解は右でした~

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 ちょっと見たところではよくわかりませんがうっすらと『瀬●38?』あたりの数字が見られます。

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 左の徳利には『意匠登録56697 K』の上絵付けの銘がついていますが番号の刻印は見られません。

 
 こういった物が出てくるから面白いんですよねぇ。

 過去から続く意匠が戦時下でも使用され続けた証拠でもあります。
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by richouken04 | 2014-07-31 18:57 | いろいろな事
 どちらが統制品でしょうか。

 本当は『酒器』として紹介しようと考えていたのですがいろいろありまして、そうしているうちに統制番号無しが出てきた次第なのです。

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 これは『イフウカン』と呼ばれる徳利の一種だったと記憶しています。資料があるのですがどこかに入り込んで見当たりませんでした。

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 頭をとるとこんな感じです。盃も『べく盃』と呼ばれる安定感のない盃になっています。

 このような異形の徳利は『砲弾型』がよく知られています。

 これもそんなものの一つですね。


 
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by richouken04 | 2014-07-22 22:23 | いろいろな事

岐168の盃と番号の無い盃

 GWも過ぎましたので『酒器』の続きをもう少し続けておきます。

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 『高砂』の謡の一部と思われるのですが高砂の謡の文言とこの盃に書かれた文字が一致しているかどうか浅学ゆえにわかりません。こういうことを知っていて謡えることが教養だった時代をものがたります。

 同じ文様の3つの盃ですがこうして並べる以上、どこか違うんだろ?

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 反対面は高砂で登場するアイテム、熊手と箒がつけられています。ここまでは一緒ですがね。

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 高台内には『岐168』の統制番号があるもの2つと番号の無いものがあります。その統制番号もクロム印(左)と呼ぶ緑色のものと凸印(右)と呼ぶ陽刻のものとがある。
 同じ窯元でなぜ違いがあるのか?まだ不明な部分です。

 統制番号(生産者表示記号)の謎はまだまだ解明すべき問題が山積しています。
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by richouken04 | 2014-05-10 11:51 | 岐(岐阜県東濃地区)

戦時下(S15~S21)に焼かれたやきものを中心として


by richouken04