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時のかけら~統制陶器~

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総集編 炊事の道具・その1 ガスコンロ・電熱器

 このブログの総集編としてそれぞれの製品を一覧で紹介していきます。今回はガスコンロと電熱器です。調理に重要な役割を持つ両者はまさに近代化の象徴でもあります。

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 昭和前期(戦前)と推測する陶器の枠のガスコンロです。このガスコンロは緑釉が美しく、代用品のもつ雰囲気がみられません。足には木で板が打ちつけられているので卓上用でしょう。統制番号はありません。

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これも形状から卓上用と見られますが、かなり大型の製品です。ガスの導入口は金属(戦後の取り付け?)ですが他の部分はすべて陶器で作られています。緑釉と青釉のかけ流しは唐三彩を真似たのでしょうか?興味深いです。統制番号はありません。

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これは外枠とバーナー部分が一体になったタイプです。白釉でヒビ焼き(貫入・カンニュウ)を用いています。焼き物は焼き上がり後に急激に温度を下げるとこのように釉薬にヒビが入りやすいのです。これを傷とみなさず、見所とする伝統があります。かなり使い込んであります。統制番号はありません。

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これも卓上用ですが、茶釉(鉄釉)のみのただ機能のみを追及した代用品です。まったくの未使用で価格統制のマル公ラベルもつけられています。また、『商工省陶磁器試験所 指導工場製』のラベルもあり貴重です。統制番号はついていません。

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 全面に緑釉をかけたガスバーナーです。代用品として各地の展示会や施設で必ずといってよいほど展示してあるもので『代用品の華』といえるものでしょうか。この形状を製造する技術力には脱帽するほかありません。ラベルには『たから瓦斯(ガス)七輪』と書かれています。ガスバーナーと表記するよりもこの方が理解しやすかったのでしょうね。統制番号はついていませんが、瀬戸地区製と思われます。

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 全面に茶釉(鉄釉)をかけたガスバーナーです。これは万古焼(三重県四日市地区)製で足の部分に統制番号がつけられています。形は統制番号の無い上記のものとほぼ同じです。ただ、持った時の重量はこちらのほうが重いです。堅牢にして長期の使用に耐えうるよう調土したのでしょう。足部分に『万40』の黒呉須印がついています。

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 こちらはガスバーナーと対になるバーナー枠。生産者が同一でないのが残念ですがそれでも貴重なものには間違いありません。底部に『万74』の凹印がついています。

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 今でも有名な大手窯業者もガスコンロを造っていました。これは外枠だけですが有田の香蘭社の製品です。白磁できれいではありますが香蘭社製品として見ると素地の出来の悪さが見て取れます。それも戦争中という時期を考えると仕方の無いことです。底部に『香蘭社』の呉須印と蘭のマークの凸印があります。

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 これは陶器で造られたガスホース接続部です。ガスコンロには金属製の接続部がつけられたものとまったくついていないものとがありますが、これはガスコンロと一緒に付属していたものです。とても珍しいもののようです。

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 実際に使用していた?様子を再現したものです。

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 こちらは様子から戦後すぐの製品と見られる電熱器です。戦争が終わった後でも電気はすぐに復興したようです。そのため製陶業者は電熱盤を数多く生産したとのことです。統制番号はありません。

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 最後はジュラルミンを台座にする電熱器です。戦闘機製造の材料であるジュラルミンは戦後いろいろな形に姿を変えてゆきます。これもその一例です。ただ、これは配線がされていませんので未使用のまま残されたものです。電熱盤に統制番号はありません。

 長らく続けてきたこのブログですが、一定の目的を果たしたと思われますので小休止をいただきたいと思います。(継続の時間と手間がつらくなっただけというごく個人的なわがままもありますが・・・)総集編としてまとめを続けていきますのでよろしくお願いします。           りちょうけん拝
by richouken04 | 2009-09-27 03:52 | 戦前参考品

戦時下(S15~S21)に焼かれたやきものを中心として


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