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時のかけら~統制陶器~

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国民食器と工場食器 その1

 国民食器と工場食器はどちらも厚手の素地に緑二重線が入る(工場食器にはさらに社章が入る)食器類のことです。茶碗、丼、皿、湯呑の4種類の和食器と肉皿(プレート皿)、スープ皿の洋食器類が存在しています(洋食器についてはまだ種類があるかもしれません)。

 この食器類がいつから登場してくるかはよくわからないところがあります。それは輪線のみのシンプルな文様で構成されているからです。しかし、江戸時代や明治時代の和食器類にはこのような輪線のみの製品はかなり数が少なく一般的ではなかったようです。
 明治時代以降、陶磁器が輸入や輸出されるようになってからは肉皿(プレート皿)にこのような線だけの製品が登場してくるようです。ですから私個人としては、この文様はヨーロッパが発祥だろうと考えています。

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 これは時代はわかりませんが、高台内にドイツ語らしき文字が書かれていることからヨーロッパで生産されたものでしょう。緑線は一本ですが、線の描き方などは国民食器とまったく同じです。

 ・日本での生産はどうだったのでしょうか。
 
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 大手メーカーでは日本陶器(現ノリタケ)がこの手の食器類を生産している。これは緑線が2本入っているものの、国民食器に見られるような緑線ではなく、一本は太く描かれている。日本陶磁器工業組合連合会の取り決めに配慮してのデザインなのかもしれない。他にも緑二重線の間にピンク線が入るものも存在している。
 高台内の裏印はヤジロベー印とも呼ばれるもので明治44~昭和15年ごろまで国内向け食器類に使用されたものといわれる。裏印の使用期間が長いためいつごろの生産品か確認が難しいが高台の作りなどから昭和時代と推定している。



 つづく
by richouken04 | 2010-03-06 20:38 | 統制陶器って何?

戦時下(S15~S21)に焼かれたやきものを中心として


by richouken04