岐1074の茶碗
盗難にあったさくらんぼは『佐藤錦』という高級品種。昭和3年から売り出したという。もっともそんな高級品は当時も今もおいそれと入手できるはずもないし、佐藤錦の栽培に成功したという話もないので絵柄は写真か絵葉書を見て描いたものだろう。
たわわに実るさくらんぼと白い花。?いや花と実が一緒に出現するはずがない。こんなところはレトロな感覚なのだろう。
銅版転写による絵付けで、昭和17年までの生産と考えられる。それ以降はさくらんぼの生産も『不急作物』として切り倒され、他の農産物に切り替えられたりしている事と銅版転写に使う銅板自体が金属回収されたことによる。
茶碗としては少し大振りなサイズ。幅11.8センチ、高さ6.3センチ。高台に向かって緩やかなカーブを描いているのでより大きく感じる。高台にはクロム印で『岐1074』とある。現在の岐阜県瑞浪市での生産品。