岐405?の子供茶碗
そんな昭和18年は決戦標語「撃ちてし止まん」(敵を撃たずにおくものか)が日本全国を飛び回った。おりしもこの標語の発表(3月)後、4月には山本五十六連合艦隊司令長官が米軍に撃墜されている。
この頃からであろう。子供茶碗にも変化が見られる。戦争を表現する図案は多いが、それにもまして標語も取り入れられてくる。今回の子供茶碗も昭和18年の「撃ちてし止まん」が入れられたもので製造時期の特定できるものである。
金太郎が力強く旭日旗を振る姿はまさにその決意を表しているようだ。横には「勝」のゴム判と「撃ちてしやまむ」の文字。以前紹介した金太郎の子供茶碗とはずいぶんと雰囲気の異なるものになっている。
窯元としては決してこのような国威高揚の軍国主義に進んで参加したのではない事は表記をしておく。この時代は協力することが当然の時代になっており反対することは出来なかった。
出来るとすればのらりくらりと先延ばしするくらいであった。
高台内に不鮮明ながら「岐405」と読める浮き彫り印がある。