万92のヤカン(土瓶)
形状も丸いアルミ製のものを写したものや南部鉄器などのごつごつしたものがあり、製作にも工夫のあとが見られる。
今回紹介するものは外観で見るとそれほどではないが蓋を取るとその工夫が見られる面白いもの。底に『万92』、『新案特許願』の文字がかろうじて判別できる。サイズは幅20センチ、高さ15センチ。
蓋を取ると何があるのか。それは煙突。底からの写真でもわかると思うが、底からふた部に向けて煙突が付いている。火力を効率よくするための工夫で初めて見るものだった。
当時の雑誌にはこの手の陶製代用品について「金属製と違い熱伝導が悪いので燃料が多く掛かる」との批判記事もあった。そういった意見をふまえて製造されたのだろう。
ただこれにも欠点がある。
蓋に炎が当たり、火をつけている間は蓋にさわれない。蓋を取って火に掛けるにしても火は手元に迫ってくる・・・。これも数回使用された形跡はあるが、大きな痛みも無いのですぐに用無しになってしまったのかもしれない。