岐427の子供茶碗
立場によってこの日の捉え方は違いますが、個人として見ればもう悲しい思いをしなくてすむと言う思いが強かったと思います。
戦場で戦死した方々とて人の子、親があり家族があり愛する人があったはず。愛する人がいるこの国を守るため、と戦場の兵隊さんは戦っていたのだろう。
母に背負われた幼き赤子。その手には日の丸がしっかりと握られている。振り返りわが子を見る母はどういう心境だったろうか。
反対側には『ハハノセナカデ チサイテデ フウッタ アノヒノマルヲ』と戦時歌謡の『日の丸行進曲』の一番の前半部が一部変更されて書かれている。
桜の花は咲いてからパッと散ってしまうことからそのいさぎよさを人々に知らしめるシンボルだった。
この子供茶碗は少年航空兵などの若年層を取り込むために企画されたのだろうか。あるいは日々厳しくなる空爆に意気消沈しないためのものなのか。今となっては真相もわからない。
ただ、この文言、図柄からは戦争の非常さが十分に伝わってくる。
石膏型による鋳込み成形で、高台内に『岐427』の浮彫印がある。サイズは図り忘れ。