岐304の子供茶碗・その2
吹き墨の物は型紙や切込みを入れた道具を使用して顔料を吹き付けるもので戦時下での生産を思わせない雰囲気をかもし出している。
今日はそんな子供茶碗を紹介する。
全面にクロムと思われる顔料をらせん状に吹付け、3方に梅花の切込みを入れて赤の顔料で吹き付けをしている。花のおしべ・めしべはゴム印によるもの。
大人用と思われる直径の大きい茶碗においても全面に吹き墨が施される例は少ないと思われる。戦後のもので高台脇部に赤の顔料で吹き付けがなされる例はあるが全面ではない。そういった点で珍しいものだろう。
高台内に『岐304』と浮彫印が2つある。これは当初石膏型に掘り込んだ統制番号がはっきりと見えなくなったためその脇に新しく彫ったものである。
サイズは直径10.5センチ、高さ5.8センチ。