米兵の描かれた子供茶碗2種類
最後は占領期(昭和20~27年)に製造されたと思われる子供茶碗を紹介します。
ほろ付きの自動車に乗る米兵を描いている。ゴム印と筆による絵付けをしている。
米軍の駐留は日本全国に及び、駐留兵相手に密造酒やお土産を売る者も出現した。これはそんなお土産的な様相もあるのかもしれない。つい1年前まで『兵隊さんありがとう』と言っていた子供たちがコロリとこちらに転がるのだろうか。
反対面は後ろを振り返る(米兵を見る?)犬がゴム印と筆で絵付けされている。後ろ足が人間のような動きをしていておかしい。あれでは歩けないだろうに。
高台部を見ると、今まで紹介してきたものと形状が全く違うことがわかる。石膏型を使用しているだろうが、高台の畳付が厚くなっている。当然、統制番号は付いていない。占領期の製品にある『made in occupied Japan』も付いていない。
最初期は国内向け・輸出用どちらも『made ・・・』を付けていたものの国内向けは付けなくてもよくなった頃ではないのだろうか。
もう一つ紹介する。
こちらもほろが付いた自動車に乗る駐留兵だろう。運転手付きの自動車に乗るのは上級士官か?弱々しい輪郭だが、ゴム印で付けてある。色釉は筆で付けている。
戦時中は戦車や兵隊さんの活躍を描いていたのに敗戦後はがらりと変わって米兵か、とその心変わりをよく思われない方もおられるかも知れないがとにかく食べるために仕方の無いことだったのだろう。
別面には走る子供が2人。前に「犬に追いかけられる子供2人の子供茶碗、岐312」を紹介したが、構図がよく似ていて興味深い。もっともこちらはゴム印。ランニングシャツ?を着ているので夏か?
また別面には犬がいる。これも同じような構図だ。こちらは一匹であるけれど。昭和30年ぐらいまでの物と思われるが、このように犬が登場する例が多々見られる。
高台部は先ほどの物と同様に高台の畳付が厚くなっている。高台の周りは赤紫の帯が描かれている。これも戦前から付けられているもので、製造時期の目安にはなるだろう。
この2つはデットストックされていた物。やはり売る側としても売りにくかったのかもしれない。