品66の小皿
精炻器の刷毛目を用いる技法や青磁に陽刻は東濃地区に、織部釉を使った茶器(湯呑・急須)は瀬戸地区に、という具合だ。
その中で、品野地区としての独自性は器自体に出ている。今日はその一つを紹介する。
ふぐをかたどった小皿で珍味や醤油を入れたものだろう。古くから食べられていたふぐだが江戸時代は食用禁止令も出され、おおやけに食べられるようになったのは戦後になってからという。戦争中ならば食べるなど、もってのほかの食材であろう。
しかしこうしてデザインされていることを考えると、戦前もひそかにふぐを食べていたのであろう。
高台内に『マルに品66』と呉須印で統制番号が付けられている。石膏型へ粘土を入れて成形する型押しの技法を使用したものだろう。
ふぐの毒は猛毒で恐れられているものの、関西では『ふく』と濁点を取って『福』に転換して縁起物として扱うようだ。関西向けに造られた製品なのかもしれない。