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時のかけら~統制陶器~

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防衛食容器いろいろ・その1

 戦時中の焼き物としてよく知られているものは陶磁器製代用品、緑二重線入り食器(国民食器などの名称で知られる)、軍隊向け食器、防衛食容器だろうか。2回で今現在所蔵の防衛食容器を紹介します。
 防衛食については戦時中の話題を取り上げた著書で取り上げられている例が多いが、真相が判明しているのかとなると意外とわかっていないのが実情のようです。

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 防衛食容器はほぼこのような形式で統一されています。『防衛食 大日本防空食糧株式会社 社長 小澤専七郎謹製』の文字が呉須やクロム釉、鉄釉でゴム印押しされています。

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 蓋もほぼ同じ形式で統一されています。『防1(この数字は生産者によって違ってくる) 特許真空容器 (くぼみに矢印) フタヲトルニハ釘デクボミニ穴ヲアケル』とこれも呉須やクロム、鉄釉でゴム印押しをしている例が見られる。

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 高台部分はさまざまで上記のように『防1 菱形に「野」』のように企業名と見られる印があるもの、統制番号と『防』の2つ表記の物、何もつけられていないものなどがある。防1は比較的たくさん見られるものですが、生産地に関しては不明です。

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 防2の防衛食容器。形式は同じです。

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 蓋部分も同じです。高台部は写真がありませんが、何もつけられていませんでした。

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 防3の防衛食容器。これも比較的たくさん残っています。これは未開封の物で中身が入っています。中身に興味はあるものの、希少性から明けてはいません。ある著書には戦後20-30年後になって開封したが味に変化など無かったと書いてありました。

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 蓋部はくぼみの矢印とその下の説明文に若干の違いがありますが、ほぼ同じです。

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 高台内は何もつけられていません。ただ防3は高台に『岐270』の統制番号を持つものが知られていますので、これは統制番号の表記をする前に生産・出荷された物だろうと思います。

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 防5の防衛食容器。残念ながら蓋は失われています。これは高台に『岐1205』の統制番号がつけられています。

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 防7の防衛食容器。ゴム印の書体が違いますが、つけられている形式は同じです。これも蓋が失われていました。

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 高台部には何もつけられていません。

 いずれもほぼ寸法は同じです(多少の誤差はありますが)。サイズは蓋が直径8.9センチ、高さ1.7センチ。容器が直径8・3センチ、高さ9.2センチ。
by richouken04 | 2006-03-27 11:28 | 戦中期参考品

戦時下(S15~S21)に焼かれたやきものを中心として


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