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時のかけら~統制陶器~

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許27207、許27215、許27221、許27222の皿 

 今日は『許』の番号がうたれた皿を4種類紹介します。いずれも上絵付けをなされた小皿のたぐいで統制番号はついていません。花種は梅です。梅をめぐる絵付けのさまざまを紹介します。

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 まずは松竹梅と鶴を描いた図です。黒の顔料の発色が思わしくないため少し薄い印象です。ここでは梅が大きく描かれています。鶴の体よりも大きく描かれた梅の花。松や竹も隅に追いやられているような感じがします。
 縁にはかすれていますが『玉堂 岐?(サイン)』とあります。これは日本画家『川合玉堂』の作品から写されたものというより川合玉堂といういわばブランドを取り入れたと考えるほうが自然ではないかと思います。

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 高台内には『許27207』と赤絵印(上絵付け)が押されています。サイズは直径11.2センチ、高さ2.4センチ。

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 次のものは2つの窓の裏側に梅の木が追いやられています。2つの窓にはそれぞれ若松と竹、波千鳥が描かれています。松竹梅と波千鳥の組み合わせにどのような意味がこめられていたのかは知りませんがとても面白い図だと思います。

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 高台には『許27215』の赤絵印がつけられています。高台内側には石膏型から外す際に残された縦の筋があります。また、高台畳付には赤い顔料が残っています。これは2度目の焼成時に重ねて焼いたためです。サイズは測り忘れ。

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 次は梅と松と折鶴という一風変わった皿です。図変わりとしての評価もできるような気もしますが、売主はいたって安価で売ってくれました。
 梅は紅梅でしょうか、ピンクの顔料を使用してとてもかわいらしい図です。子供の誕生などを祝うために使われたのでしょうか。

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 高台内には『許27221』と赤絵印がつけてあります。この皿の高台は上部2品と比べきちんと成形してあります。またマル許の印もマルにギザギザが見られるものです。サイズは測り忘れ。

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 最後は梅にウグイスの図でこれも春を想起させる図案です。皿を四弁の花で区切ったようにして画面を引き締めています。こちらは白梅でしょう。

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 高台内には『許27222』と赤絵印がつけられています。こちらも高台の成形は滑らかで丁寧です。これにもところどころ顔料の付着が見られます。サイズは直径11.2センチ、高さ2.3センチ。

 これら『許』の番号印は統制番号と共に存在する物があることから昭和14年の価格統制の開始以降の品と考えています。なぜ5桁なのか、上絵付けの物のみにあるのはなぜなのか、などいろいろと謎に満ちた製品です。
by richouken04 | 2006-04-14 23:53 | 許(価格改正品)

戦時下(S15~S21)に焼かれたやきものを中心として


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