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時のかけら~統制陶器~

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岐221、岐867の蓋付き湯呑

 蓋付きの湯呑は少ない気がする。60年以上前の製造品なのでその間に蓋が失われてしまうからだ。それでも少しづつではあるが見つかっている。蓋無しの湯呑みの中には蓋が失われた蓋付きの湯呑もかなり含まれているのだろう。

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 蓋のかみ合わせがうまくないけれど蓋付きの湯呑。現代製のようにきちんと火力や焼成時間を設定できない時代においてはこのように焼き歪みを起こす製品は少なくない。こういうものはまだよいほうで、窯傷(割れ)を起こしたものも公定価格の半額以下の価格で販売されていた。
 文様は呉須で描かれた蘭(春蘭)。濃淡で葉と花を区別している。この花を見ると描かれているのが春蘭であると確信が持てる。

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 すぐ横には画賛が書かれている。画賛は描かれた絵の賞賛文や絵柄から想起する詩文などで中国絵画や南画の掛け軸に見られる。
 ここに書かれた文字はかなり崩されているので読めないが、『幽』の字が見える。意味合いとしては『人知れず山中で咲く春蘭のなんと高貴なことか』的なことを表わしているのだろう。

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 蓋には湯呑(身)から続く春蘭が描かれる。蓋のつまみ上にまで凹状の模様を入れている。とても細かい仕事である。鉄が飛んだような点は蓋付き湯呑に必要な穴です。

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 高台内には『岐221』と呉須印が打たれています。絵付けは筆による手描きですが、統制番号印はゴム印で押されています。サイズはそれぞれ本体(身)直径8.3センチ、高さ7.1センチ。蓋は直径8センチ?、高さ2.1センチ。

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 こちらは背の高い蓋付き湯呑。こちらの絵付けも上記のものと構図が似ています。こちらは花の輪郭部分をイッチンで描いています。
 器は浅く飛びカンナの凹凸があります。実際に飛びカンナで仕上げたわけではなく石膏型に凹凸をつけています。

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 蓋上部には葉のみが描かれています。これも湯呑(身)からの絵柄の持続性を示しています。こちらのつまみには何もありません。

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 高台内には『岐867』と凹印が押されています。ほとんど見えない感じですが、モニターによっては見えるのではと思います。サイズはそれぞれ湯呑本体(身)直径7.4センチ、高さ7.5センチ。蓋は直径8センチ、高さ2センチ。
by richouken04 | 2006-04-21 18:44 | 岐(岐阜県東濃地区)

戦時下(S15~S21)に焼かれたやきものを中心として


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