MADE IN OCCUPIED JAPANの楕円皿
この結果、さまざまな物にこの印が付けられました。この時代の物は統制陶器よりもはるか以前より広く知られており、収集家もたくさんいます。
今日はその内の「ウイローパターン」を絵柄とした楕円皿を紹介します。
中国風の楼閣、お互いの顔を近づけて飛ぶ鳥・・・「ウイロ-パターン」に特有の文様です。ウイロー(柳)パターン(文様)と言う位で、皿にも柳が描かれています。ウイロ-パターンは悲しい恋の物語が語られています。
中国のお金持ちの娘が貧しい青年と恋に落ちます(中央部の大きな楼閣がそれを示すそうです)。それを知った父親は激怒、2人を引き離し娘を軟禁してしまいます(中央の小さな楼閣です)。しかし、2人は親元から脱出して暮らし始めます(左隅の楼閣)。しかし、父親は使用人を連れて娘を取り戻しに来るのでした(橋の上に3人)。
危機一髪のところで2人は脱出し、舟で楼閣をあとにします(左側の舟)。2人はついに振り切って新生活を送るのですが、そこにもまた父親の手は伸びてきます(左上部の楼閣)。2人はついに自ら命を絶ち鳥に生まれ変わるのです(中央上部の鳥2羽)。
一つの物語が描きこまれた皿は初め欧州で流行したようでこの文様の皿はたくさん造られました。日本でも輸出向け業者が造り、輸出していました。
高台部は楕円皿なので畳付部分も当然楕円になっています。中央部は見込み部分の垂れ下がりを防止するために単独で高台が付けられています。
単独高台の下部には『MADE IN OCCUPIED JAPAN』と王冠のマークが呉須印でつけられています。
拡大図です。亀裂のように見えるものは貫入(かんにゅう)といい窯出し時、釉薬が空気に触れ急速に縮んだために出来た亀裂です(使用には支障はありません)。
サイズは横長さ37.1センチ、縦長さ25.8センチ、高さ2.9センチ。皿としてもかなり大きな物です。