時のかけら~統制陶器~

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面白い裏印・品八の鉢

 統制番号の裏印はそのほぼすべてが産地記号とアラビア数字で表されている。<すべて>ではなく<ほぼすべて>というのは例外(2点のみ)が存在しているからだ。
 今日はそんな例外を紹介します。

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 口縁部に水色の呉須を塗った中型の鉢です。胴部外側には波線模様がぐるっと一周しています。これは石膏型で文様を付けています。

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 内部は見込み中央部に丸窓の山水文がゴム印でつけられています。このような鉢類ではごく普通に見受けられる文様です。
 明治時代よりの摺絵や銅版転写の鉢類と比べ装飾が排されて、とてもシンプルな絵付けになっています。従業員の減少なども考えられますが、華美な装飾を嫌うもともとの国民性もあるかと思われます。

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 高台内には打ち出の小槌を外枠とした『品八』の呉須印がついています。品野地区では以前紹介した日の出の外枠を持つ統制番号印を紹介しました。あれは普通に見られる番号印とともに付けられていたので間違いないものとされています。
 これはまだこの番号印のみで、はっきりと証明はなされていませんが私はこれも統制番号印の一種であると考えています。サイズは直径15.1センチ、高さ6.1センチ。

 この番号印を持つものは2種類でもう一つも紹介します。大きくくっついたサヤが原因で廃棄されたものです。採取地は現在の瀬戸市品野地区内です。道路拡張工事中の土を削り取った断面から見つかりました。


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 大きく割れた陶片で、鱗波文(りんぱもん)と呼ばれる文様が外側につけられていたようです。上部に少し突き出ているのは窯内部でくっついたサヤ(窯道具の一つ)の一部です。

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 内部も口縁部に鱗波文が付けられていたことがわかります。見込み部分には『寿』が絵付けされています。2つに割れていたものを接着剤でくっつけました。

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 高台内にはやはり同じ打ち出の小槌の外枠で『品八』の呉須印がつけられています。サイズは測り忘れ。

 『八』がアラビア数字で表記されなかったのは『八』が末広がりを表す縁起の良い物だったからでしょう。漢数字の『八』表記は『岐八』で一点確認されています。

 打ち出の小槌でそれを囲むことで幸運をさらに呼び込もうとしていたのかもしれません。そう考えると日の出の外枠もこれから躍進してゆく品野地区を象徴させたものだったのでしょう。ただ、それも結局は他産地と同じような表記になってしまうのですが。
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by richouken04 | 2006-07-17 22:28 | その他産地

戦時下(S15~S21)に焼かれたやきものを中心として


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