昭和16年箱書きの抹茶茶碗
先日は裏千家の初釜が行われたとのニュースもありました。これから各地で茶会が行われることでしょう。
今日紹介するものは茶会を開催した記念にと制作された抹茶茶碗です。
見込みに鉄釉で『慶溢萬齢』?と読むのでしょうか、文字が書かれています。検索してみましたが意味はわかりませんでした。個別に字として解題すると『喜ばしいことが永遠にあふれ続いてゆく』とでもなるのでしょうか。
横から。抹茶茶碗のうちでは浅いものです。暖かくなるにつれて碗は浅いつくりになるようです。
高台のみ無釉です。信楽や京都の焼き物に見られる造り方に似ています。
高台脇に『かさ●山』と凹銘がつけられています。このサインが生産地・作者の特定につながるのでしょうが・・・。サイズは直径13センチ、高さ6センチ。
題名にありますようにこの茶碗には箱が付いています。
『薬師寺(?)茶席担当記念』と表にあります。茶席を取り仕切るというのはとても大変なことで、それをやり遂げたことをいつまでも覚えておきたかったのでしょうね。
箱蓋裏は『慶溢萬齢 文字入 茶わん(字が出ませんでした) 白鳳庵(?)席開記念 昭和十六年四月十三日』とあります。
薬師寺、あるいはその近くに庵が建てられた記念の茶会だったのでしょう、昭和16年という新たな戦火の近づく時代ですが、このような行事も行われていたのかと感慨深くなります。