万26と万82の蓋物
ひょうたんをデザインした蓋物は純和風の題材ですが、今日のものは洋風のデザインを用いたものです。
カトレアでしょうか、菖蒲とするには花の様相がちょっと違うように感じます。ひときわ大きく型押しされた花はオレンジと青に塗り分けてとても印象的です。
蓋のつまみ部分もつぼみをかたどっています。つまみは汚れがどうしても落ちませんでした。
側面から見ると蓋部の型押し文様がいかに前面に押し出されているかがよくわかります。それに比べ胴部は横筋が施してあるのみで全く対照的なありようです。残念なことは汚れが取れなかったこと。テープの跡が痛たましいです。
蓋と胴部の内部です。それぞれ食品が触れる部分は釉薬がかけてあります。梅干や味噌、塩などを入れていたのでしょうか。貫入(釉薬のヒビ割れ)に汚れが入り込んでいるものが多数あります。
高台面には『万26』と統制番号があります。中央部に『万』が凸印でつけられ、『26』が凹印でつけられている珍品です。このような例は万古焼のみで確認されています。
サイズは測り忘れ。大体15センチ以上の直径がありました。
もうひとつ紹介します。
こちらはなんともかわいらしい文様です。バラのつぼみか、ざくろの実をかたどっているようですがどちらにも見えて判断が付きません。ただ、このデザインは洋食器からきているものだろうと思います。
側面から見ると竹かごを想起させるデザインが施されています。反対面は蓋から続く細かい格子文様です。蓋と同じく緑釉がかけてあります。
蓋の取っ手は日本風な玉(あるいはギボシ風?)ではなく、キャセロールのような洋食器に見られる向こうの見える取っ手をつけています。
高台には番号がありません。統制番号は高台面、あるいはその周辺だけにつけられるとは限りません。ではどこなのでしょう。
統制番号は蓋の内側につけられています。『万82』の黒呉須印がつけられています。蓋につけられる例は余りありませんがしかし、高台に無いからと言って統制陶器ではないと判断が出来ないところです。
サイズは測り忘れ。これも上記と同じくらいかと思います。