人気ブログランキング | 話題のタグを見る

時のかけら~統制陶器~

tokinokake.exblog.jp
ブログトップ

万26と万82の蓋物

 今でもそうなのですが、当時の日本も外国(西洋)への憧れは強く、服装や食事などは雑誌を通じて大いに宣伝されました。ノリタケも海外だけでなく、国内向けの洋食器を生産していたことからもわかります。
  ひょうたんをデザインした蓋物は純和風の題材ですが、今日のものは洋風のデザインを用いたものです。

万26と万82の蓋物_c0004987_16475114.jpg

 カトレアでしょうか、菖蒲とするには花の様相がちょっと違うように感じます。ひときわ大きく型押しされた花はオレンジと青に塗り分けてとても印象的です。
 蓋のつまみ部分もつぼみをかたどっています。つまみは汚れがどうしても落ちませんでした。

万26と万82の蓋物_c0004987_1652079.jpg

 側面から見ると蓋部の型押し文様がいかに前面に押し出されているかがよくわかります。それに比べ胴部は横筋が施してあるのみで全く対照的なありようです。残念なことは汚れが取れなかったこと。テープの跡が痛たましいです。

万26と万82の蓋物_c0004987_1655295.jpg

 蓋と胴部の内部です。それぞれ食品が触れる部分は釉薬がかけてあります。梅干や味噌、塩などを入れていたのでしょうか。貫入(釉薬のヒビ割れ)に汚れが入り込んでいるものが多数あります。

万26と万82の蓋物_c0004987_1703837.jpg
万26と万82の蓋物_c0004987_1724294.jpg

 高台面には『万26』と統制番号があります。中央部に『万』が凸印でつけられ、『26』が凹印でつけられている珍品です。このような例は万古焼のみで確認されています。
 サイズは測り忘れ。大体15センチ以上の直径がありました。

 もうひとつ紹介します。

万26と万82の蓋物_c0004987_1734852.jpg

 こちらはなんともかわいらしい文様です。バラのつぼみか、ざくろの実をかたどっているようですがどちらにも見えて判断が付きません。ただ、このデザインは洋食器からきているものだろうと思います。

万26と万82の蓋物_c0004987_17935100.jpg
万26と万82の蓋物_c0004987_17153930.jpg

 側面から見ると竹かごを想起させるデザインが施されています。反対面は蓋から続く細かい格子文様です。蓋と同じく緑釉がかけてあります。
 蓋の取っ手は日本風な玉(あるいはギボシ風?)ではなく、キャセロールのような洋食器に見られる向こうの見える取っ手をつけています。

万26と万82の蓋物_c0004987_17204993.jpg

 高台には番号がありません。統制番号は高台面、あるいはその周辺だけにつけられるとは限りません。ではどこなのでしょう。

万26と万82の蓋物_c0004987_17245968.jpg

 統制番号は蓋の内側につけられています。『万82』の黒呉須印がつけられています。蓋につけられる例は余りありませんがしかし、高台に無いからと言って統制陶器ではないと判断が出来ないところです。
 サイズは測り忘れ。これも上記と同じくらいかと思います。
by richouken04 | 2007-04-05 17:26 | 万(三重県四日市市)

戦時下(S15~S21)に焼かれたやきものを中心として


by richouken04