『二千六百一年』赤絵銘の徳利
吹き墨の染付で雲海に富士山です。雪をいただく富士山の文様は非常にたくさん造られていますが雪の端や幅広・幅細など個性といえるほど多種多様です。
反対側には『大学卒業記念』と赤絵文字が焼き付けられています。今ではすたれた習慣ですが昭和30年代ぐらいまでは広くおこなわれていたのでしょう。
底部に『東北帝大医学部 二千六〇一年十二月』と赤絵文字、その下に読みにくいのですが『彌』呉須銘(九州系窯元?)が付けられています。徳利自体は統制番号が付いていないところから在庫としてあったものとわかります。
この徳利を発注した方は昭和17(二千六〇二年)に卒業予定だったのでしょう。誇り高きその思いを富士山に投影したと勝手に想像しています。
政府は戦況を勝ち戦との大合唱をくり返します。
卒業したこの方はどうなったのでしょうか・・・