時のかけら~統制陶器~

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時代区分を考える

 戦時中から戦後にかけてのやきもの(ここで取り上げる『戦時中』とは昭和6年の陶磁器工業の統制のはじまりから大東亜戦争終結までの時期を示します。戦後は占領期から独立後、昭和30年までです)を取り上げて何年か経過しきました。当初考えていたよりも生産品種の裾野が広く、文様も多岐にわたることがわかりました。中には『これが戦時中の製品か?』と見まがう物もちらほらと登場しました。
 そこで、個人的な見解ながら入手できた資料・出版された本などからこの時代のやきものの時間的な経過を見てみたいと思います。

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 戦時中から戦後までのやきものを主な出来事を軸として時間枠にしておおまかに区切って見ると次のようになりました。

 ①昭和初期のやきもの
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 和洋折衷のデザインやモボ・モガを想起させる幾何学的なデザインが積極的に登場する。もちろん大正時代からのデザインも混同している。(洋食器・和食器)

 ②満州事変・支那事変などがおこる昭和10年代のやきもの
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 戦時体制が進む中で『軍隊徳利』や『軍隊盃』などを含む、さまざまな勇ましいデザインの製品(それぞれの名称付き)や東濃地域(岐阜県)ではじまる『スープ皿共同販売制度』のはじまり(スープ皿銅版統制証票をつけたスープ皿・洋食器・和食器、名称や年号入り))

 ③昭和16年3月から各地で企業合同がおこなわれるまで 
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 製品への統制番号(生産者登録番号)の焼付けやラベル貼付けが実施され、さらに複数の業者をひとつの会社に合同させる政策が進められる時期の製品、家庭からの金属類の回収や寺院での仏具回収が本格的になる昭和17年など。(洋食器・和食器、昭和17年でほとんどの洋食器生産が止まることと企業合同により転業・廃業する窯元が出てくる)

 ④昭和18年から昭和20年の戦争終結まで
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 『撃ちてし止まん』・『米英撃滅』など戦時スローガンが付けられた製品や陶製兵器などが登場する。代用品生産も品種により製造量の差が表れてくる。(和食器)

 ⑤占領期から独立まで
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 戦中に出荷できなかった在庫に絵付けした製品や石膏型をそのまま使用して製造した製品などが国内で流通。輸出が許された製品には『Made in occupied Japan』の印が付けられる。 (洋食器・和食器)
 
 ⑥独立後、昭和30年代くらいまで
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 昭和20年代には確立・普及されていない『シルクスクリーン転写』の上絵付けが施された製品が未確認ながら確認されている。 これらは在庫として残っていた製品に絵付けしたと考えられている。また、これらは正式にシルクスクリーン転写された製品と認定されたわけではないのでここでは未確認ながらの確認と表現しました。(洋食器・和食器)

  *あくまでも個人的な時間的分類・表現なので各学会や研究と相容れない部分があることをご了承ください。

 問題はこの時代の窯業に関しての資料の散逸などにより調査・研究がほとんど進められていない点です。これは特に戦時中に限ることは無く、明治以降の一般向け食器類(産業製品)に関する関心が高くなかったことも一因としてあるようです。
 最近ではその関心も各地で高まりつつありますので今後のさらなる研究・資料の出現に期待したいと思います。
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by richouken04 | 2008-10-05 22:21 | 統制陶器って何?

戦時下(S15~S21)に焼かれたやきものを中心として


by richouken04