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時のかけら~統制陶器~

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電笠の型について

 先日、ここで『電笠の型』を紹介しました。装飾のための色付けもなされていないもので、購入時の店主の言葉より電笠の型ではないかと書き込みしました。
 それはそれでひとつの可能性を示すものですが、いかんせん、私は戦時期の代用品に関してはより詳しくありません。

 昨日、代用品に詳しい友人よりメールが来て、『あれはそのまま電笠として使用されたものでは』と教えられました。また、いくつか見たこともあるそうです。

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 電笠としてこの状態が完成形なのかどうかの確信はありませんが(それを言い出すとどんどん深みにはまりますが)よくよく考えると化粧品瓶などには釉薬をかけず、素地の状態で流通した例がありました。

 これもそのような一例なのでしょうか。一度は紙で出来た電笠の型と納得した私ですが、これで完成品といわれればそうだろうな、とも思うし。
 でもこれで完成形なのでしょうね。
by richouken04 | 2006-09-29 09:15 | 戦中期参考品

マッチ箱

 とにかく金属の代用品というのは木製・紙製・樹脂(ベークライト)製・布製などさまざまな素材でさまざまなものが造られています。そのための工夫とそれらを生み出した努力には頭が下がります。いわば当時の『プロジェクトX』とでも言いましょうか・・・。

 代用品は戦時中の花形の遺物なので、コレクターさんが多いです。時としてとても高価になりますが『戸車』のように大量に在庫が出てくることもしばしばです。そうなると一気に底値になったりもします。
 今日紹介するものも底値に近い価格で購入したものです。やはり在庫として残っていたものでたくさんありました。

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 銀色と茶色に塗られたマッチ箱各2種類です。

 これらは統制されなかったやきものです。生産者を示す統制番号はありません。やきものはそのほとんどの種類で価格・生産の統制がなされましたが、ごく一部の種類に関しては統制されませんでした。
 マッチ箱や『軽質陶器』と呼ばれる器物、汽車土瓶などです。

 詳しく見てみましょう。

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 銀色も茶色も両側面には陽刻(エンボス)の戦時標語が付いています。『護れ大空』、『敵は降参』、『我等は増産』、『一億翼賛』、『八紘一宇』そして『火の用心』。
 両面の方の組み合わせを考えるといくつ物組み合わせが出来ますし、他にも違う標語の入ったものが存在することも予想できます。

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 形はどちらも表紙のしっかりした本の形をしており、小さな穴があけられています。ここからマッチを出し入れしました。紙製ですと湿気の問題や誘火の危険がありますが、これならばどちらの問題も解決と考えたのでしょう。

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 マッチを擦る部分は経年の変化と紙の付着で印象がかなり違ってきています。今はもう使用不可能でしょう。サイズはどちらも横長さ6.7センチ、高さ4.7センチ、奥行き1.5センチ。

 もう一点ご紹介を。

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 こちらは標語が無いタイプで、時々見かけるものです。先ほどより細長く、多色なので明るく見えます。

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 日の丸の文様は片面だけで反対面はマッチ擦り部のようです。無論、別面にも擦る部分がつけられています。

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 側面には大きな穴。これほど大きいといっぺんにたくさん出てしまい不便だろうと思います。サイズは測り忘れ。

 今となってはライターの普及で『マッチ』を見たことの無い子供もいるかもしれないのですね・・・。いや、そういった火器全般触らせないことのほうが多いのかもしれませんな。
by richouken04 | 2006-09-25 11:43 | 戦中期参考品

岐78の戸車

 先日の続きです。

 戸滑りは使える程度の耐久性があり、実際に使用されていたことが遺品より判明しました。しかし、今日紹介する戸車についてはかなり疑問符があります。
 戸車自体は金属製ですので、この頃は生産中止(特別なものをのぞく)になっていました。陶磁器製のほか、木製品の戸車があります。こちらの方が使い勝手では数段上だったと思います。

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 素焼きで、質感からすると土器の雰囲気に近いです。何かに当たったらすぐに割れてしまいそうな感じを受けます。
 これは当時からのデットストックとして残されていたもので、商品には商標とマル公のラベルが付いています。

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 マル公特許陶製大和車のラベルと『岐78』の窯元の印(三つ○)

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 マル公ラベル、『一級 12銭 日陶連検査格付●』。

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 2つのうちひとつにはラベルが無くなったのか、新聞の囲碁欄が・・・。

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 正面というか、横というか。前後2つをくっつけた跡が見えます。

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 下部より。枠に比べ車自体は黒っぽく硬そうに見えます。側面に『岐78』の凹印が付いています。サイズは横長さ6.4センチ、高さ3.4センチ、奥行き1.2センチ。

 もうひとつ、ラベルの違うものも紹介します。

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 質感や構造は全く同じもので、ラベルのみが違うものです。
 『○停十七銭 金属代替品・陶製襖引手』と読めます。『襖引き手』は???別の製品のラベルを転用したのでしょうか?価格も少し高くなっています。
 サイズは横長さ6.3センチ、高さ3.4センチ、奥行き1.2センチ。
by richouken04 | 2006-09-24 11:48 | 岐(岐阜県東濃地区)

戸滑り

 今の住宅では引き戸が以前より少なくなった気がする。大きな部屋では引き戸もあるが、小さく区切られた部屋では入り口はドアに推移している。

 戸滑りはこの引き戸の下部に備え付けられたもので、常時目に付くものではない。むしろ、こんなものが付いてるの?ぐらいの感覚が予想される。戸滑りをじっくりと眺めたことがある方のほうが少ないと思う。

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 引き戸に備え付けられている状態の図がこれ。もちろん、使用時は本体が木をくりぬいた中に仕舞いこまれているので見ることは出来ない。

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 これは実際に使用されていたものなので、中央部の釉薬が擦れてなくなってしまっている。

 火事や時代の波に打ち勝ちながら身を削り続けた戸滑りに拍手!また、傷を付けずに取り出した骨董屋さんもたいしたものだ。


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 窯元で焼成するときはこういう格好だった。まるで輸送船のようですね。サイズは幅4.5センチ、高さ1.9センチ。

 もうひとつ紹介します。

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 こちらは白磁のもの。ほとんどの部分が隠れてしまうものなので、どんな色でも関係無いように思いますが、そんなところに気を使うのはやはり製造者が日本人だからでしょうか。

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 これも中央部が擦れているので実際に使用されていたものです。(写真では見にくいですが)

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 こちらには底?部分に『○二特許願』の凹印が見えます。『○二』という屋号の窯業者が特許(あるいは実用新案などか)をとろうとしていたのでしょう。他の業者が真似しないよう注意喚起したものです。
 サイズは幅5.2センチ、高さ1.5センチ。

 明日は戸車を紹介しようと思います。

 
by richouken04 | 2006-09-21 16:34 | 戦中期参考品

キセル

 台風13号の強風が今も続いております。通り道となった九州北部の方々、およびこれからの接近が心配される北海道方面の方々にはまだ心配もあるかと思います。お気をつけください。

 こんな時、気持ちを落ち着かせるにはまずコレ。と言わんばかりに出てくるアイテムがタバコ。戦争が激化し、戦局が怪しくなった中でもタバコを吸う人は吸っていた。先日、昭和20年の家計簿を入手したが、その中にはタバコ代も計上されている。

 戦時代用品としてのキセルは『岐78』、『岐463』のキセルが有名だが、他にも代用品として紹介されているものが今日紹介のもの。

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 靴を写したもので、黄瀬戸釉(灰釉?)を薄く掛けてあるもの。受けを狙ったような形はどこから来たのだろうか。
 
 靴のつま先がちょっとだけはがれているように見える。 

 チャップリンのドタ靴!

 チャップリンは1932(昭和7)年、1936(昭和11)年に2回と3度来日している。私的考えでは『チャップリン来日』後の人気ぶりに後押しされて1936(昭和11)年~1937(昭和12)年ごろの製作されたものではないかと見ている。
 興味深いところでは2回目の来日時、岐阜の鵜飼を見学したという点。やはり関連があるのだろうか。

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 キセルの裏側。土は東濃で産出された茶色い土、精炻器などと同じもの。白いものは防着剤か?食器の高台部(畳付)にも見られます。サイズは測り忘れ。
 
by richouken04 | 2006-09-18 17:01 | 戦中期参考品

電笠の型

 今日は予告通りの電気の笠の型を紹介します。

 いつの時代においても出来上がった製品というのはどんな形であれどこかしらにひっそりと取り残されたりするものですが、それを製造する過程で使用したものというのはさっさとこの世の中から姿を消す割合が多いです。また、多くは注目されずに打ち捨てられます。
 個人的にはそういったもののほうが好きですね。

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 電気の笠ですが、素焼き(白焼)製でとても軽く、弱々しく感じます。

 これを購入したとき、店主は『これはアルミの電笠を造る際、型として使用したものだよ』と言われました。私自身は手に取った感触からこれで本当にアルミの電笠を造ったのだろうか、と半信半疑でしたが老齢な正直そうな方だったのと、参考品として手にしたかったので『なるほど~』とあいまいに返事していました。

 実際にこれが『型』だとすればアルミではなく紙の電笠を造る際に使用されたものではないかとの判断をしています。かなり丈夫な紙の笠ではないかと思いますが、これは想像の域を脱していません。

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 コード取り付け部下部には『19』の凹印が押してありました。これも先日のものと同じで産地の記号が無く、統制番号かどうか判断が出来ません。これが型ならば、笠についた番号は逆になってしまいますね。統制陶器ではよくあることです。

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 内部は真っ白(当然ですね)です。取り付け部の端から溝が切ってあるのはスイッチのためでしょうか。今ではリモコンでの操作が主流でしょうが、ほんの数年前(今でもですが)電灯から下がるひもで消すのが当たり前でした。
 サイズは測り忘れ。直径は大体20cmくらいでしょうか。
by richouken04 | 2006-09-15 00:31 | 産地・時代不明品

電笠

 陶器や磁器、紙の電気の笠は戦時中の代用品としてよく知られている。どれも台形で、光が横にもれないような形をしているのが特徴です。

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 陶器でできた電気の笠。これは比較的数が多いものでしょうか。シンプルというか、戦時色というか濃い緑一色で彩られています。
 内部の写真は撮っていないのですが、内部は真っ白です。光の反射を考えれば当然ですね。スポットライトのように食卓を照らす役目を担うはずだったのでしょう。
 内部に『3』の凹印があるのですが、産地を示す記号が無いので統制番号なのか、製造元の管理番号なのかはわかりません。

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 これは幸い?にして未使用の状態で入手しました。ラベルには『★財団法人大日本防空協会★松村硬質陶器株式会社製品★指定品★』とあります。その下にもラベルのあった痕跡がありますが、入手時にはすでに失われていました。おそらくマル公価格のラベルがあったのだと思います。
 サイズは最大幅12.4センチ、高さ15.9センチ。

 明日は電笠の型を紹介する予定です。
by richouken04 | 2006-09-14 00:20 | 戦中期参考品

漁業用具でしょうか?

 9・11事件の翌日なので、これに絡んで紹介しようかとも思いましたが、まとめるのが大変そうなのでやめました。

 で、今日はこれです。さすがに何なのかさっぱりわかりません。

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 白磁で筒状、縁がつけられ、胴部に文字が入ります。

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 文字の拡大です。『大漁叶』、『海上安●(全)』と読めます。銅版転写を用いて付けられているようです。文字句の意味から漁業に関係する道具だと思いますが、詳しいところまではわかりません。

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 縁の様子ですが、立てて焼成したので一方は無釉です。反対は『新案第二四九〇〇号.長崎県波佐見町中尾 馬場淳製陶所』とあります。
 これは代用品として考案されたというより、『新案』とあることから『磁器で造ってみました』的なものではないかと思います。サイズは久しぶりに測り忘れでした。

 それでもこうした動きが各地の製造者にあったことが後々の代用品製造へとつながってゆくかと思うとこれも貴重な資料です。
by richouken04 | 2006-09-12 01:24 | 戦中期参考品

報告

 今日午後、岐阜県瑞浪市の陶磁資料館に統制陶器42点を寄贈してきました。

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 最近の重複した『岐』(東濃地区)のものです。まだほんの一部なのでこれからも機会があるごとに寄贈したいと思っています。

 ここに行ったのは寄贈のためではなく、展示会を見るためです。予定は『戦前・昭和のやきもの』を展示するとのことでしたが、行ってみると戦後、昭和30年代の窯元における活動を紹介するものに替わっていた。

 戦後のやきもの史を考える上で重要な部分であり、とても興味深いものだった。特に理論と実践を兼ね備えるやきものを追及した活動であったとの見せ方がわかりやすくされていたのがよかった。

 その後、土岐市美濃陶磁歴史館へ行きました。こちらはやきものと食とを取り上げたもので、『器物を見せるだけ』ではなく、『生活に根ざしたところを顧みる』展示をされていた。

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 本当は撮影禁止ですが、撮っちゃいました。(上から箱膳・・・明治から昭和30年代、ちゃぶ台の食卓・・・昭和初期から、ダイニングキッチン・・・昭和30年代中期から)

 明治から昭和30年代までの食卓のありようを実際に当時の食器を並べて展示しています。
 こういう展示はわかりやすいし、親近感も湧くな。

 一点これは!と思うものがありました。↓
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 摺り絵の小皿ですが、中央の文様は形がかなり違っていますが五弁花のようにも見えます。ケータイのカメラではちょっと見にくいですね・・・残念。
by richouken04 | 2006-09-10 21:20 | いろいろな事

時計の振子

 代用品というのは2種類に分類されるとのこと。ひとつは金属製品自体を陶磁器で造り、まさしく代用させようとするもの、もうひとつは陶磁器製も金属製もどちらももともと存在していたもの。
 今日のものはどちらかといえば前者であろうか。よくわからない部分もあるが、代用品と見て取れるものです。

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 昔(昔といってもごく最近まで我が家にもあった)柱時計の振り子。白一色の無紋ですでにやきものという雰囲気を飛び越えているように思う。

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 裏側を見ると振子が磁器製であることがわかる。縁の一部を除きほとんど無釉。注目すべきは振子を貫く木部。上部は広く、下部は小さく取ってある。

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 側面より。ちょっと写真がぶれてしまいました・・・。でも中央部を微妙に盛り上げて重点の位置を計算している様子がうかがえるようです。
 サイズは棒込み長さ15センチ、振子の幅8センチ、高さ2センチ。

 時計の振子は陶磁器製のほかにガラス製が存在した。
by richouken04 | 2006-09-10 01:50 | 戦中期参考品

戦時下(S15~S21)に焼かれたやきものを中心として


by richouken04